ビーナスの香り、恋の香り

私は美術館に行くのが好きなのですが、今回は最近よく来るボッティチェリの作品の中から、『プリマヴェーラ(春)』という絵で感じる「香り」について考えてみます。




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この絵の私の印象は、花の甘い香りで満たされる春が訪れているのに、不安な何かが同時進行中の様な空気を感じるものでした。
なぜ甘い香りで不安になるのでしょう?

まず、右端にいるのは西風の神ゼピュロスと言いますが、彼は1人のニンフ(妖精)をさらって妻にしますが、後で反省して、彼女を春の女神、「フローラ」にしてあげます。
彼女の口からは花が咲き出てきていて、今まさに左の花のドレスをまとう「フローラ」に変身してるとこ!というシーンなのです。
そして彼女は変身すると、真ん中にいる「ビーナス」の足元にバラを撒いています。
愛と美の女神である「ビーナス」。
彼女はすべての出来事を穏やかに見守っているように見えますが、ギリシャ神話の中ではかなりの恋愛至上主義者 
夫をいつもヤキモキさせてます!
かつ息子の嫁に酷く残酷な仕打ちもするこわーい姑でもあります笑
その彼女を象徴するのがバラ。
トゲもあるし、この女神にふさわしい花ですね。
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なので、「ビーナス」の口からはバラの香りがはかれます。
神話の中では美しい乙女は美しい息をするし、足元には花が撒かれたり咲いたりするんです。そういうもんです。
なんか、シシガミ様を思い出すけど…

そしてさらに左には三美神と呼ばれる女神たちがいます。
彼女達は、右から「美」「貞節」「愛欲」を表す女神です。
その「貞節」の目線の先にいるのが、神様界でも最もイケメンとされる、「マーキュリー」です。




彼はヘルメスと同一視されているのですが、羽のついたブーツでどこへでも飛んで行き、神様界のフィクサー的な存在です。
父親であるゼウスの浮気の後処理なんかもしちゃいます

そんなわけで彼は旅を司る神とされていて、そこから、元々馬具を作っていたエルメスはブランド名にいただいたんですね。



で、彼をじっと見つめている「貞節」は、「ビーナス」の頭上にいる目隠しした「キューピッド」の矢が今にも飛んできて、恋に落ちちゃうの?
どうなの?貞節すてちゃうの?


みたいな状態にあるらしいですあせる
目隠しは「恋は盲目」ということでしょうか、不安にさせる効果がありますね。
そしてこの絵全体をパッとみただけでも、頭上、足元、花の女神フローラのまとう花、と、花で溢れているのがわかります。




ここにはなんと40種類、500本の植物が描かれているそうです!
描き込んだね、ボッティチェリ!!



ということで、沢山の花々が放つ甘美な香りは、春の訪れだけではなく、不安定な恋の始まりを予感させているのかもしれませんね